僕は老健の寝当直バイトが大好きです。
実働時間が少なくて、まったりできるからです。
- 家で本を読んでいる
- カフェで本を読んでいる
- 老健で寝当直バイトをしながら本を読んでいる
どれもあまり違いを感じません。
ヒマがあって、家で本でも読みたい時は寝当直(老健)スポットバイトを入れてしまいます。
今回はそんな、僕がこよなく愛する寝当直バイトについて。
医師の寝当直(老健)スポットバイトの業務内容
老健の寝当直バイトの業務内容は、主に3つです。
- 入院患者の医療的介入
- 入院患者のお看取り
- 併設介護施設からの入院
です。
1、入院患者の医療的介入
当直中に発生するあらゆるトラブルに対処するのがバイト医の仕事です。
老健施設では、時に医療的介入をしなければならない患者さんが一定数存在します。
多くの場合
- 転倒打撲、裂傷→ナート
- 発熱
のどちらかです。
冬場は特に、インフルエンザが多いですね。
中には嘔吐、食思不振、血便などの消化管疾患、麻痺や頭痛などの脳神経疾患、胸痛などの循環器疾患も存在します。
他にも特有とも言えるトラブルがあって
部分入れ歯を飲み込んだら喉に刺さってしまった
という経験もしました。
一言で言ってしまえば、寝当直(老健)バイト医の業務は「普通の救急外来の規模が小さくて、より高齢者が多いバージョン」だと思ってしまって良いです。
違うのは、寝当直(老健)バイト先の方が「使える医療資源が限られている」という点です。
薬はもちろん、器具が限られているので、限られたその道具の中でいかに問題を自分1人で解決するのか。
そこにかかっているでしょう。
1度だけ、イレウス疑いで僕と看護士さんでCTを立ち上げて撮影した事があります。
お察しの通り、その日は全然「寝」当直にはなりませんでした。
2、入院患者のお看取り
中には入院されている患者さんで、亡くなってしまう方がいます。
その場合は、医師として死亡診断をしなければなりません。
多くの場合は既にDNRを取られていますが、稀にDNRじゃない患者さんが急変した場合、フルで蘇生をしないといけません。
挿管、心マ、ルート、ボスミン、家族への連絡、近隣総合病院への搬送付き添い…と、やるべき事が多々。
遠方の場合、近くの総合病院まで距離があるので、行き帰りだけでも数時間かかる事もあり得ます。
この場合も、「寝」当直ではなくなります(笑)
3、併設介護施設からの入院
これはバイト先によりますが、老健の近くに介護施設を併設している場合があります。
その介護施設で、夜間に医療的介入が必要になりそうな事態が発生すると、連絡が来る場合があります。
その場合はこちらに連れて来て入院、という事になります。
特に何事も無く「今日は寝当直だ!」と思っていると、こういう落とし穴に落ちるので注意しましょう。
医師の寝当直(老健)スポットバイトの相場(時給)
寝当直(老健)スポットバイトの相場は
- 休日日直、当直=4〜5万円
- 24時間休日日当直=10万円前後
です。
昨今、都市部では寝当直バイト価格の下落が激しいようですが、地方ではまだまだこの値段水準を維持しています。
僕は定期で「24時間で12万」の寝当直バイトを行なっていますが、悪くありません。
やはり地方では医師がまだ少ないのが現状ですね。
医師の寝当直(老健)スポットバイトの注意点
老健での寝当直バイトをする際の注意点は、5つあります。
1、使える医療資源を確認
基本的に使える医療資源はかなり限られていて、バイト先によって大きく異なります。
特に、血液検査や画像検査はキーとなる検査項目ですので、必ずチェックしておきましょう。
また中には心電図すら怪しい施設も存在します。
心電図くらいいつでも取れるでしょ!
と思っていると、後で痛い目を見ることなります。
バイト案件募集の時、事前に確認しておくのも大事です。
2、医療介入必要時、自分の力量の把握
医療介入が必要な時、自分がどの程度のレベルにまで対応できるのかの把握も重要です。
例えば先ほどの「部分入れ歯をマギール鉗子で摘出した」話も、自分の手に負えない場合は近くの耳鼻科医に診てもらうしかありません。
この手の救急外来的なスキルは、自分が過去に救急外来でどの程度のレベルまで経験したのか、という部分に依存する事が大きいでしょう。
3、家族へのICで不確実性の説明
場合によってはバイト先の入院患者が急変する可能性もあります。
その際、家族に対するICを看護師から依頼される時がありますが、この時も注意が必要です。
普段働いている病院とは違って、バイト先の老健施設の医療資源はかなり限られています。近隣の総合病院へのアクセスもそれほど良く無い場合が多いです。
そのため何かが起こった時、対応できるレベルが普通の病院とは異なります。
普段のICと比べて、より対応できる範囲を狭く、不確実性が高い事を家族に説明しなければなりません。
ついいつもの感じでICをしてしまうと、後々トラブルに発展する可能性があります。
4、搬送する場合、搬送先の確認
何回もある事ではありませんが、例えばDNRを得られていない患者がくも膜下出血を起こし、意識レベルが低下しバイタルが崩れたとします。
この場合は近隣の脳外科がある総合病院への搬送が必要です。
搬送しなければならない状態に陥った時、搬送先を事前に把握しておく事は、一刻を争う時のスピーディーな動きへと繋がります。
初めて行くバイト先では、せめて地理的に近く、普段からやりとりのある近隣総合病院くらいは把握しておきましょう。
5、DNRを得ているかどうかの確認
死亡診断書を作成する事は、老健施設ではソコソコある事です。
つい事務的にやってしまいがちですが、注意しなければならない事が1つあります。
DNRを得ているかどうかの確認です。
何かが起こった時に、その患者がDNR取得済みか、そうでないかは大きな違いを生みます。
中には看護師すらあまり把握していない場合があるので注意が必要です。
状態が悪く、急変しそうな患者がいれば
患者家族からはDNR取得済みですか?
という事を、常勤の看護師などのスタッフへ質問し、把握しきれていなければ調べさせるようにしましょう。
後々自分の身を守るためにも、必要な事です。
医師の寝当直(老健)スポットバイトの必要物品
老健施設への寝当直バイトでの必要物品は
- 腕時計
です。
これに尽きます。
死亡診断の際、流石にスマホで時間を確認する先生はいませんよね?
いくらなんでも患者家族に対して失礼です。
しかしながら、普段腕時計をつけるクセが無い場合は、つい忘れてしまいそうになるのもわかります。
バッグの中に1つ、安物の腕時計を忍ばせておくのも1つの手です。
個人的には、電波ソーラーのG-SHOCKをオススメします。
- 時間調整の必要ナシ
- 電池切れナシ
- 水濡れオーケー
と、医療現場で使うのに適しています。
バイト先によっては白衣が無かったり、ペンライトが無かったりします。
ですので
- 白衣かスクラブ
- ペンライト
- 聴診器
くらいは持って行って損はありません。
まとめ
老健での寝当直は、少ない医療資源である程度の医療レベルを保たなければならない。
基本的には実働時間が少なくて、まったりできる。
体を休める意味でもオススメ。