初めまして、水城稜と申します。
私は現在、小児科、産業医を経て精神科の医師として単科の精神科病院にて勤務しております。
ここで書いていくのは、私が精神科の医師になる前に経験した「健診(人間ドッグ)のスポットバイト」の話になります。
目次
医師の健診スポットバイト(人間ドッグ)の業務内容
健診(人間ドッグ)のスポットバイトの業務内容としては、基本的には「受診に来た人の問診・聴打診」になります。
レントゲンや心電図の読影は基本的にナシ
健診(人間ドッグ)に受診に来た人たちはレントゲンや心電図をとっていますが、健診バイト医が読影を頼まれることはまずありません。
読影がある場合には、バイト検索の際の表記に
- 読影あり
と記載があります。
書いていない場合は基本的に医師のやる事は「問診と聴打診のみ」だと考えていただいて構いません。
またただの健診(人間ドッグ)だけではなく、特殊健診などがある場合も「読影あり」の場合と同様に
- VDT健診あり
- 有機溶剤健診あり
と記載されています。
主業務の聴打診は「場所」が問題
健診(人間ドッグ)バイトの主な業務である「聴打診」についてですが、健診センターなど医療環境が整った施設で行う場合は問題ありません。
しかし現場に行って健診をする場合、少し話が異なります。
まず健診作業は、パーテーションで区切られた非常に限られたスペースの中で行うことになります。
物理的な空間が制限されているので、正直なところ健診がやりにくいです。
そして診察室の内部にはベッドが置いていないことがほとんど。
腹部の診察は物理的にできないことが多く、胸部や頭頸部の診察が中心となります。
看護師が診察に同席してくれることもありませんので、異性に対する過剰な診察行為は避けなければなりません。
もし小さな小部屋などがある場合、女性の健診者に対しての診察や心電図をそちらにあてがってくれることが多くなります。
医師の健診スポットバイト(人間ドッグ)の相場(時給)
健診(人間ドッグ)スポットバイト時給は、私の場合は1時間あたり10000円前後が中心でした。
単価自体は低く見えても、交通時間には時給の半額を上乗せしてくれるような健診会社もありました。
交通費に関しては、新幹線で通勤しても全額出してくれる所がほとんどでしたが、なかなかその健診会社で常連にならないとそこまで遠方の健診は頼まれることはないと思います。
バイト時間以外の時間、例えば通勤時間に時給が発生するかどうかは、事前に確認しないとわかりません。確認しておきましょう。
医師の健診スポットバイト(人間ドッグ)における注意点
健診(人間ドッグ)スポットバイトでは女医さんの方が重宝されると思います。
上記のように、相手が女性だと憚られてしまう診療環境があり得るからです。
もし男性の医師が健診(人間ドッグ)バイトに行こうと思った場合、前述の通り診察場所は「パーテーションで区切られた限られたスペース」かつ「看護師は診察に同席しない」のがスタイルですので、聴診に関しては衣服の上からの診察を心がけるように注意した方が良いと思います。
注意点1、いつもの診察よりも丁寧、低姿勢で
健診(人間ドッグ)に受診する方は「病気で来ている患者」とは違い、現在困っていることはあまりなく、健康である人が中心です。
バイト医にも、普段の診察以上の低姿勢を求められます。
いつも通りの「診察してやってる」という態度だと
- 言葉遣いがイマイチ
- 威圧的
などすぐにクレームが届いてしまうので、診察に誰かが来るのを待っている時の姿勢から気をつけましょう。
特に健診者から嫌われる医師の行為は
- 足を組んでいる
- 携帯をずっと触っている
などのようなので、避けましょう。
注意点2、個人情報保護の時代、大きな声で話すのは避けよう
健診(人間ドッグ)のパーテーションはなぜか「青色」であることが多く、防音・遮光には全く優れていません。
正直な所、受診者の顔色は意外とよくわからないことが多いです。
また、会場全体が大きなフロアでその一部分を使っている場合、あまり大きな声で話すと外に漏れてしまいます。
個人情報保護の観点からクレームにも繋がりやすいので、気をつけましょう。
結構、医師の方で「自分は声が大きい」という事に気がついていない人って、いらっしゃいますから(笑)
注意点3、健診項目によって場所が分かれている場合、音は問題無いけれど…
他の健診種目とは離れた場所で診察を行う場合があると前述しました。
その時は、防音性は高くなります。
しかしながら、会場全体の雰囲気や流れは分かりにくくなります。
そうなると本当は「健診が終了」しているのに、「ただ人が途切れただけ」と勘違いしてしまう可能性があります。
健診者が途切れた場合、メイン会場に行って今どういう状況なのか適宜把握することも大事です。
スポットバイトとはいえ、最低限の主体性は必要です。
片付けのスタッフが知らせに来るのは遅くなってしまった、という事もたまにありますけどね。
医師の健診スポットバイト(人間ドッグ)、必要物品はコレ
健診(人間ドッグ)バイトの募集項目に「白衣、聴診器あり」と書いてあっても、聴診器だけは自分のものを用意しましょう。
よく聞こえる自前の聴診器
基本的に置いてある聴診器は看護師用の安物で、更にあちこちで出し入れされて痛んでいることも結構あります。
また、会場が騒がしくい場合は
耳をすませても安物の聴診器では心音を聞くのがやっと
とか
呼吸音は聞けない
といったことも起こることがあります。
自分の「よく聞こえる医師用の聴診器」は健診(人間ドッグ)スポットバイトの必需品です。
書籍や論文
また書籍や論文の持ち込みが可能であれば、ぜひ持ち込みましょう。
待ち時間にいきなり人が入ってきた時、携帯を触っていると印象が悪いです。
健診者がひっきりなしに来るかどうか、時間あたりの人数など見て、慣れてくれば把握できます。
しかしながらまだ慣れない内は想像できず、待ち時間をボーッと過ごす事になります。
待ち時間が発生しそうであれば書籍の持ち込みを考慮しましょう。
もちろん、医師が読むような内容のものに限ります。
昼食
健診バイト先では、周囲にどんなお店があるか把握できないことも多々あります。
行ってみたはいいけれども全く飲食店がない、ということは十分に起こりえます。
午前〜午後とまたがっての健診では必ず昼食を持参しましょう。
昼食の時間が十分に取れるかどうかも不明な場合は、できるだけ手軽な食事を持っていくようにしましょう。
まとめ
健診で医師が行う主な業務は問診、聴診、打診。
検査については読影まで求められる事は稀。
時給は10000円程度と、悪く無い。
注意点としては
- いつもよりも低姿勢
- あまり大きな声で話さない
事を心がけよう。
必要物品は
- よく聞こえる聴診器
- 書籍や論文
- 昼食
の3つ。