初めまして、ドクターかずやと申します。
私は、現役の産婦人科医で、キャリアは13年目になります。
初期研修で一般内科、循環器内科、腎臓内科、一般外科、乳腺外科、心臓血管外科、整形外科、麻酔科、小児科、精神科、産婦人科をローテーション後、大学病院勤務を経て、専門医取得。
現在は総合病院の産婦人科医として産科および婦人科の業務に携わり年間、約200件程のオペを執刀しています。
今回、乳腺外科医師のバイト、業務内容と注意点などを実際の経験、あるいは先輩ドクターの実務や情報からお話し、解説して行きたいと思います。
※ マンモグラフィの読影バイトに関しては、マンモグラフィの医師バイト、業務内容と注意点にまとまっています。
乳腺外科医師のバイト、業務内容は
乳腺外科医は、主に乳腺腫瘍(乳腺良性腫瘍、乳乳がんなど)をはじめとする乳腺疾患を専門に診る科です。
募集されている内容は
- 外来と検診
- 病棟業務
の2つに分かれます。
1、乳腺外科医師のバイトにおける外来と検診
公募で募集されている乳腺外科のアルバイトのほとんどはクリニックでの外来業務になります。
病棟関係のバイト募集は、ほとんどありません。
近年は乳がんの早期発見、早期治療に対する国民意識の高まりがあり、乳腺外科医のバイトの募集も多くなっています。
外来では、検診や人間ドッグを扱っている乳腺専門のクリニックで
- 乳房の触診による診断
- マンモグラフィー
- 乳腺エコー検査
- その読影から結果の説明
などの業務を行います。
乳腺疾患の診断の流れとして
- 触診
- エコー
- マンモグラフィー
- 乳腺エコー
というのが基本です。
必要があれば病理生検をする必要が出てきますので、バイトに最終診断までを任されるところが多くなっています。
仮にバイト先のクリニックで「手術が必要な患者さん」が見つかれば、その地域での乳腺外科の手術に対応している病院への紹介をしていきます。
あるいは自分の病院で乳腺外科の手術症例を担当しているのであれば、そこへ紹介する形にすればスムーズに治療に移れます。
特殊ではありますが、遺伝性乳がんの遺伝相談などを請け負っている施設もあります。
2、乳腺外科医師のバイトにおける病棟業務
病棟業務は、主に乳腺疾患の診断のついた患者さんの治療になりますので
- 手術
- 化学療法
- ホルモン療法
- 終末期の緩和ケア
を行うことになります。
お察しの通り、乳腺外科のバイト医にここまで求める病院は非常に稀です。
あまりアルバイトで募集されることはないと思います。
あるとすれば過去に務めていた病院で人員不足だとか、医局からの派遣要請で募集されていることはあります。
乳腺外科医師のバイト、相場(時給)は
乳腺外科のバイトの相場は
- 外来業務の1コマで平均4万円~6万円前後
に設定されているバイト案件が多いです。
だいたい午前診で1コマ、午後診で1コマと数えられますので、時給換算では1万円~15000円程度に設定されています。
基本的にバイト代は都心部では安く、郊外に行くほど需要が高くなりバイト代は高めに設定されています。
1日中検診をお願いされるようなクリニックであれば、1日で10万円前後で募集されているところもあります。
乳腺外科の病棟アルバイトは公に募集されることはあまりないですが、例えば以前務めていた病院の手術のお手伝いなどをお願いされることはあります。
相場としては1日でだいたい5万円~10万円になります。
乳腺外科医師のバイトにおける注意点
注意点1、器具の違いは確認しておこう
普段自分が診療を行っている病院やクリニックで使っているエコーやマンモグラフィと比べて「画像の精度がどのように違うか」は確認しておく必要があります。
乳腺疾患は画像診断に非常に重きを置いているので、普段見える画像と見え方が異なっていれば誤診にも繋がってしまいます。
注意点2、業務内容がどこまで要求されるのかは把握しておこう
また
- 画像診断までを要求されるか
- 病理生検までをお願いされるか
は確認しておいた方が良いでしょう。
ある程度、侵襲性の高い検査になりますので、穿刺針の形状や麻酔の方法などは自分のやり方でできるかの確認は必須となります。
乳腺という特殊な疾患を専門に診るアルバイトになりますので、出来れば乳腺専門医の資格を持っているとより重宝されると思います。
注意点3、定期非常勤のバイト案件が基本
乳腺疾患の診断の流れとして、触診、エコー、マンモグラフィー、乳腺エコーなど、1人の患者さんに対して一連の検査を行うには1日では足りません。
当直の外来のようにスポットで勤務するというよりは、毎週であったり、隔週であったり継続して勤務してもらえる乳腺外科医を募集しているバイト案件が多いです。
注意点4、乳腺外科医のバイトは非常に専門的
そして、一般外科医は乳腺の手術を担当することは多いのですが、きめ細い治療法の選択(手術、化学療法、ホルモン療法、終末期であれば緩和ケア療法まで)は乳腺専門医と連携を取りながら診療を進めることも多くなっています。
一般外科で乳腺も扱っているというドクターより、むしろ乳腺を専門に扱うドクターが応募する方が望ましいと思います。
このように乳腺外科のバイトは非常に特殊で、専門的なアルバイトになります。
乳腺という特殊な疾患を専門に診るアルバイトになりますので、出来れば乳腺専門医の資格を持っているとより重宝されると思います。
可能であれば
- 検診マンモグラフィ読影認定医
- 検診乳房超音波認定医
遺伝性相談にのるのであれば
- 家族性腫瘍コーディネータ
などの資格があれば強いでしょう。
乳腺外科医師のバイト、必要物品はコレ
乳腺疾患に対しては日本学会の診療ガイドラインに基づいて細かく治療方針が定められていますので、バイト先のクリニックで確認するためにも、ガイドラインは持参しておくと安心でしょう。
また、マンモグラフィーの診断は多項目に分かれており、詳細の確認をするためにも、乳腺マンモグラフィー画像アトラスなどは持っていくと便利だと思います。
※ マンモグラフィの読影バイトに関しては、マンモグラフィの医師バイト、業務内容と注意点にまとまっています。