初めまして、Dr.Kと申します。
現在、眼科医として大学病院に勤務しながら、医療ライターとして医療記事を作成しています。
「医療を正しく、分かりやすく!」をモットーに皆さんに医療情報を届けることができたらと思っています。
今回は、僕がよく行う「クリニックでのコンタクトバイト」についてです。
目次
医師のコンタクトバイト(クリニック)、業務内容は
コンタクトバイト、その名から業務内容は明らかかもしれませんが、コンタクトバイトの業務内容は大きく分けて以下の3種類があります。
- コンタクトレンズ処方前の診察
- コンタクトレンズ装用後の診察
- コンタクトレンズ処方ではない一般的な診察
1の場合は今回初めてコンタクトレンズを処方する、あるいはしばらくコンタクトレンズを使っていなかった患者さんが対象になります。
バイトの医師は
- コンタクトレンズを処方しても問題ないか
- ほかに眼科的な疾患が隠れていないか
を確認することが重要です。
2の場合は今までコンタクトレンズを使っている患者さんが対象になります。
コンタクトレンズを付けた状態で、コンタクトレンズのフィッティングに問題ないかどうかを医師が診察します。
3の場合、コンタクトバイトは通常8割以上がコンタクトレンズ処方ですが、残りの1〜2割程度はこの「一般的な眼科の診察」となることがあります。
バイト医の業務内容として、一般診察では前眼部だけでなく、時として眼底検査を必要とする場合があります。
この眼底検査は慣れた眼科医でなければ観察すらできません。
コンタクトバイトの診察内容が1と2の診察のみであれば眼科医でなくてもできます。
しかし、バイト内容に一般診察が含まれているのあれば、バイト先に眼底検査が必要かを事前に聞いておくとよいでしょう。
医師のコンタクトバイト(クリニック)、相場(時給)は
コンタクトレンズに対する診療報酬が包括となり、1人当たりで算定できる点数が下がりました。この改定を受けてコンタクトレンズを扱うコンタクトバイトの募集数が減り、その相場も全体的に値下がりするのではないかと思われました。
しかし、医師のコンタクトバイトの募集件数は他のバイトと比べると依然として多く、その相場は概ね下記の通りです。
- 午前中のみのコンタクト外来:30000〜40000円
- 午前から午後にかけてのコンタクト外来:60000〜80000円
これは私が住んでいるの関東地域ですが、概ね関東地域では少なくともこの程度の相場感です。
会社によって異なるコンタクトバイトの相場
先ほど例に挙げたコンタクトバイトの相場は、クリニックによっても異なります。
大手の株式会社Aなど、チェーン展開しているクリニックのコンタクトバイトは9000円程度と、平均的な値と比べて10〜20%程度安くなっています。
他にも交通費は全額が出るクリニックもあれば、交通費込みの給料となっているバイトもあります。
バイト案件によって相場は異なりますが、概ね60000〜80000円/日の範囲には収まるでしょう。
個人的には、交通費を除いた額が70000円/日以上もらえるコンタクトバイトを基本的に受けるようにしています。
単価の高いコンタクトバイトを探すには
単価の高いコンタクトバイトを探すには、以下のような方法があります。
- 予定の2ヶ月前から案件を検索
- 詳細条件にある時給で検索
- 1つ隣の県まで含めて検索
1の場合、コンタクトバイトの募集開始時期は募日の1〜2ヶ月ほど前です。
もちろん、募集する直前になっても診察医師が見つからないのか、高時給のコンタクトバイトが出ることもあります。
そういった例外を除けば、募集開始時の方が時給の良いバイトを見つけやすくなります。
この方法のデメリットは1〜2ヶ月先の予定を組むことが難しいことでしょう。当直が入る可能性などがある方もいらっしゃるかもしれません。
僕もまだ非専門医であり当直は他の医師に比べて多いですが、「ここに当直が入ったら変更しよう!」と前もって同僚に相談しています。
2は非常に簡単なやり方です。
コンタクトバイトは9000円〜11000円の相場が多いので、「自分の中で10000円までならやる」という金額を予め設定しておき、その金額で検索をします。
僕は10000円以下のバイトはしないよう、詳細条件で設定しています。
3の場合ですが、僕は東京に住んでいるので、埼玉や千葉、神奈川の求人も検索条件に含んでいます。
都内だけでも高時給なコンタクトバイトはありますが、医師の数が多いためすぐに募集が終わってしまいます。
そこで、1つ隣の県を検索条件に加えます。単純にコンタクトバイトの件数が増えるだけでなく、地方の方が高時給のコンタクトバイトが見つかります。
この方法のデメリットは移動時間がかかることです。
僕の考えでは、移動時間は勤務時間に含まれます。いくら時給が良くても移動時間が長ってしまうと正味の時給は下がります。
正味の時給とは、時給は12000円で10時から17時までの勤務で、移動時間が往復2時間の場合、給料は84000円となりますが移動時間を加味すると、トータルで9時間働いていることになります。
つまり、84000円を9時間で除した約9000円が時給になります。
これなら都内で時給9000円のコンタクトバイトをするのと変わりません。
僕はこの正味の時給を考えながらコンタクトバイトを探しています。
医師のコンタクトバイト(クリニック)における注意点
コンタクトバイトは他のバイトとは異なり、患者さんにコンタクトレンズを処方するだけであり、重症の患者さん基本来院しません。
ですから、眼科医1年目や他科の医師でもコンタクトバイトをすることができ、実際に私も眼科医1年目の5月からコンタクトバイトを始めていました。
このように、眼科医1年目や他科の医師でもできる点は非常に魅力的です。
しかしながら僕が考えるコンタクトバイトにおける注意するべきことは、コンタクトレンズに関わる診察以外、一般的な眼科診察にあると思います。
僕がコンタクトバイトをしている時に
最近、飛蚊症の数が増えてきた気がする。でも、コンタクト付ければよく見えるので処方を下さい
という30代患者さんがコンタクトレンズの処方希望で来院されました。
若い人の飛蚊症は網膜剥離を疑え!というのは眼科医として必須ですし、幸いそのクリニックにはOCT(網膜の断層像を撮影する機械)がありましたので精密検査を行いました。
実際、この患者さんは黄斑部にかかる裂孔性網膜剥離で、大学病院に紹介し、緊急で手術することになりました。
この例は少し極端かもしれませんが、コンタクトバイトでは十分にあり得る話です。
眼科医の方は自分の診察がどこまで自信を持ってできるのか、あるいはクリニックに検査の機械がどの程度揃っているのかを把握しておく必要があります。
一方、眼科医でない他科の先生はコンタクトレンズ処方しか必要とされていないかどうか、確認しましょう。
医師のコンタクトバイト(クリニック)、必要物品はコレ
コンタクトバイトは基本的に持っていく必要物品はありません。
他科なら自分の聴診器を持っていく必要があることはあります。
しかし、コンタクトバイトであれば検査で必要な道具はクリニックにほぼ全て揃ってます。
医師免許証のコピーと保険医登録証だけを持っていけば良いです。
ただし、眼科医であればスリットランプ用のレンズを持っていくとよいでしょう。
コンタクトバイトは通常、診察して前眼部診察までです。
しかし、中には「眼底検査も必ず診察するようお願いします。」というクリニックも存在します。
眼底検査診察を頼むクリニックであれば、スリットランプ用のレンズを準備してあることが通例ですが、中にはレンズに傷が多く透見困難なこともあります。
そういったリスクを避けるために、僕はスリットランプ用のレンズを持っていくことをお勧めします。