初めまして、Dr.Shoshoと申します。
某国立大学医学部を卒業後、皮膚科、予防医学を学び、以前より興味のあった、美容皮膚科医になりました。
現在は美容皮膚科医としてクリニックで働いています。
目次
医師の美容皮膚科クリニックバイト、業務内容は
診療や業務の内容はクリニックにより、かなり違ってきます。
クリニックは大きく分けると
- 保険診療と自由診療を行なっているクリニック
- 自由診療のみ行なっているクリニック
に分けられます。
クリニックにより、持っている機械や薬が千差万別です。バイト医に期待する役割もかなり変わってきます。
今回は、自由診療のみ行なっているクリニックの業務内容について、主にお伝えします。
1、美容皮膚科クリニックバイトの業務内容、定期非常勤の場合
定期で週1回など、同じ美容皮膚科クリニックで働く場合には「そのクリニックにある全ての治療が行えること」が求められます。
そのクリニックの施術以外にも、美容皮膚科の知識全般をある程度は身につける事が望ましいです。
バイト初日から上記のことは求められないですが、勤務していく間に、徐々に学んでいくことが求められるでしょう。
主な業務は「治療を受ける患者に対して医師として説明する」事です。
医療法で定められている、説明義務による仕事ですね。
同じ治療をした事のある人の場合は、説明を省略することが多いですが、再診の方でも新しい施術を受ける際には、もう一度医師の説明が必要です。
実際はカウンセラーが美容皮膚科クリニックには在住している事も多く、どの程度まで医師が施術の説明をするかは、クリニックにより様々です。
例えば、患者とカウンセラーが事前に話し合い、行う施術を既に決定してから「バイト医師が施術の説明のみ行う」クリニックもあります。
一方でバイト医師が患者の悩みを聞き、それに対してアセスメントし、最適な施術を提案する美容皮膚科クリニックもあります。
後者の場合は、より高度な知識とカウンセリング技術が必要でしょう。
- 金銭的な負担
- 時間的な負担
- ライフスタイル
等、色々な背景を考慮しながら治療を決定します。
また施術自体は、看護師が行うものが多いです。
医師が行う施術と、看護師が行う施術は何が違うのでしょうか。
看護師施術が多いのは
- フォトフェイシャル
- ケミカルピーリング
- レーザートーニング
などです。
いわゆる「ノーダウンタイム」と呼ばれる、施術後に回復時間を必要としないような侵襲が低い治療は、看護師が行う美容皮膚科クリニックが多いですね。
これに関しては、機械のマニュアルやカウンセリングツールが置いてあるクリニックも多いので、マニュアルに沿って施術を行えば問題ありません。
一方で侵襲度が少し高い治療は、医師しか施術が行えないことが多いです。
例えば
- ホクロ取り
- シミとり
- ヒアルロン酸やボトックス等の注入
などは、バイト医師が行います。
経験のある医師であれば、即治療に入ることもあると思いますが、初めての場合はクリニック側が研修の場を与えてくれる事がほとんどです。
バイトしながら、保険診療では学べない治療の研修ができるのは、貴重だと思います。
頻繁ではないですが、既存の患者のトラブル対応が、必要なこともあります。
主には
- 熱傷
- 内出血
- 炎症後色素沈着
などです。これに対して、症状の説明と治療を行います。
詳しくは後述しますが、トラブルに発展する可能性もあるので、丁寧な対応が必要です。
2、美容皮膚科クリニックバイトの業務内容、スポットバイトの場合
スポットバイトで美容皮膚科に行く場合は、医師の負担が少ない仕事がほとんどです。
メインの業務は、初めての施術に対する説明です。
定期非常勤の場合でも触れていますが、医師がどの程度までカウンセリングを行なうかは、クリニックによって異なります。
スポットバイト可能なクリニックの場合は、カウンセラーや看護師が、大部分の説明を行なってくれることがほとんどです。施術も看護師が行ないます。
バイト医師が実際に施術をしなければならない場合は、募集要項に「美容皮膚科での勤務経験が必要」と書いてあります。
トラブルが起きた場合の診察が必要になる可能性はありますが、まず軽傷です。
医師の美容皮膚科クリニックバイト、相場(時給)は
1、美容皮膚科クリニックバイトの相場(定期非常勤)
美容皮膚科クリニックでのバイトが未経験の場合、時給は7000〜10000円です。
美容皮膚科クリニックでのバイトの経験がある場合、時給は10000円以上の事が多いです。
未経験の非常勤バイトの場合でも、勤務を継続していくうちに昇給していく場合があります。
また皮膚科が専門の医師の場合、美容皮膚科が未経験でも、時給を上げてもらえる場合があります。
2、美容皮膚科クリニックバイトの相場(スポットバイト)
美容皮膚科クリニックでのバイトが未経験、経験者であっても時給7000〜10000円です。
美容皮膚科クリニックでのバイト経験がある人限定の求人は稀です。その場合は時給10000円を超えるのは間違いありません。
ただし、医師が施術を実際に行わなければならない可能性がありますので、育休産休から復帰する場合などは注意して下さい。
医師の美容皮膚科クリニックバイトにおける注意点
一番気をつけなければならない事は
自由診療では勤務医が加入している「医療賠償保険が適応外」である
事です。
患者とトラブルになったり、訴訟になる確率が美容皮膚科クリニックでは高いです。
美容外科と比べると、美容皮膚科はトラブルは少ないですが、保険診療よりは多いです。
具体的には
- 軽い熱傷
- 内出血
など、医学的に医療ミスとは呼べないものでも、大きなトラブルになることがあります。
美容皮膚科クリニックに来る患者は、より美しくなりたくて来ているからです。
患者側の美容皮膚科の施術への期待度が高すぎる場合も、要注意です。
医学的には良い治療だったとしても、患者の期待と乖離がある場合はトラブルになる事があります。
自由診療では、このような有害事象や施術の効果等に関する、説明義務が非常に重いのです。
起こりうる有害事象は小さなことでも、きちんと説明しましょう。
重要なのは
- 治療は魔法ではなく、効果にも個人差がある
という当たり前の事を、事前に納得してもらう事ですね。
美容皮膚科クリニックバイトにおける注意点(定期非常勤)
稀ですが、美容皮膚科クリニックの治療の中にも、重度の後遺症を残してしまった症例が報告されています。
例えば、ヒアルロン酸注入は手軽なイメージですが、皮膚壊死や失明などのリスクはあります。
自信のない施術は行わないなど、自分の身は自分で守りましょう。
美容医療に対しても保険の効く、特別な医師賠償保険もあるので、心配な人は加入しましょう。
ただし加入の値段が高いので、週1日程度の勤務だと割に合わないかもしれません。
クリニックが、既に保険に加入している場合もあります。確認しておくと安心ですね。
また美容皮膚科の知識があり、他の美容皮膚科クリニックで施術経験があっても、機械の種類が違うと、かなり施術の方法が違うので注意が必要です。
特にフォトフェイシャルは様々な機械があり、機械により出力など全然違います。
ベテランの先生でも、機械の種類の違いを考慮しておらず、熱傷を起こしてしまった話も聞きます。
全く同じ機械でない場合は、必ずマニュアルを読んだりしてから、施術するようにしましょう。ピーリング剤などの薬剤に関しても、同じ事が言えます。
美容皮膚科クリニックバイトにおける注意点(定期非常勤)
スポットで美容皮膚科クリニックで働く場合は、実際に施術を行なうことは少ないと思います。
しかし「医師が説明義務を怠った」としてトラブルになる場合があります。
トラブルになった場合はもちろん、医師賠償保険の適応外です。
スポットで入る場合は特に、加入料の高額な美容医療賠償保険に加入するのはもったいない。
とはいえ、盾問えば名指しでトラブルになった場合は、クリニックはスポットバイトの医師を守ってくれない事がほとんど。
自分の身を守るためにも、説明はしっかりと行いましょう。
もし自分の経験したことのない施術の予約が入ってしまった場合、「できません」と正直に断りましょう。
ほとんど美容皮膚科の知識がなかったとしても、患者にとったら医師です。
施術の説明の際に、肌の悩みや施術の違い等、色々な悩みを相談される可能性もあります。
その場合に備え、勤務する美容皮膚科クリニックが扱っている施術だけでもいいので、最低限の知識は学び、受け答えがスムーズにできるようにしましょう。
『患者さんからのよくある質問集』などのマニュアルを、クリニック独自でもっている場合もあります。確認しておきましょう。
医師の美容皮膚科クリニックバイト、必要物品はコレ
定期非常勤の場合、美容皮膚科の施術を幅広く取り扱った教科書を、最低限1冊は用意しておくといいでしょう。
総論を軽く学んでおくと、視野も広がります。
スポットバイトの場合、絶対に必要なものは無いです。
もし今後美容医療に興味が出そうなら、1冊読みやすい入門書を買い、空き時間に読むのはオススメです。
スポット勤務の場合は比較的、診療の空き時間が多いと思います。
空き時間を有意義に使えるものを持参するのもいいでしょう。
美容皮膚科クリニックのバイトは、皮膚科や形成外科の医師以外でも、勤務可能な場合が多いです。
他の科に比べると、転科もしやすく、門戸が広いです。
転科まではしなくても、専門科の診療をしつつ、空いている日に、美容皮膚科のバイトをすることも可能です。
バイトしながら、正しい美容医療の知識を得る事ができるので、特に女性医師には嬉しいバイトでしょう。