フリーランス麻酔科医として働いている僕ですが、今回は麻酔科のバイトについて語っていきます。
麻酔科医師のバイト、業務内容は
麻酔科医師のバイトの業務内容は大きく分けて2つあります。
- オペ麻酔
- ペイン外来
の2つです。
麻酔科医師バイトその1、オペ麻酔
オペを行う際の麻酔方法は、大きく分けて「全身麻酔」と「そうでない場合」があります。
麻酔科医がバイトを行うのは、主に全身麻酔で行うオペの麻酔です。
たまに、硬膜外麻酔や脊椎麻酔で行うオペにおいて、麻酔科以外の先生がうまくできずにヘルプに呼ばれる事はあります。
具体的には
- 産婦人科の帝王切開(脊椎麻酔、硬膜外麻酔)
- 整形外科の下肢の手術(脊椎麻酔)
- 整形外科の上肢の手術(神経ブロック)
などです。
これもたまにですが、神経ブロックのみで行なっていた整形外科の手術が長引いて、だんだん痛くなってきて、追加のブロックのお願いをされる事もあります。
不穏になってきて全身麻酔に切り替えてほしいという場合も麻酔科が介入します。
いずれの場合も、バイトに過ぎない麻酔科医に依頼される事は稀です。
麻酔科医師バイトその2、ペイン外来
慢性疼痛に対する外来で、神経ブロックを外来で行なったり、鎮痛剤の処方を行ったりします。
いわゆるペイン外来です。
基本的にはペインを専門としている麻酔科医が行うので、普通の麻酔科医は行いません。
バイトの数自体もそれほどありません。
多くの場合、以前働いていた病院で外来を持っていて、その続きという場合が多いですね。
麻酔科医師のバイト、相場(時給)は
麻酔科医のバイトの中でも、メインとなる「オペの麻酔」ですが、相場はマチマチです。
「1件いくら」と決まっている場合もあれば、「1日いくら」と決まっている場合があります。
「1日いくら」で決まっている場合は、概ね1日8:30〜17:30で15万円程度です。
「1件いくら」で決まっている場合は、麻酔代金の8割程度を報酬としてもらう事が多いです。
例えば呼吸器外科の麻酔を2件やれば、麻酔代金が40万円くらいになるので、その8割である32万円が報酬でもらえます。
麻酔代が高いのは
- 心臓外科
- 呼吸器外科
- 整形外科の脊椎
などです。
特に心臓外科の麻酔は高度な知識と技術が求められるため、麻酔代金も高く、伴って報酬も高く設定されています。
心臓外科を専門でやっているフリーの麻酔科の先生は、バイトだけで年収が4000〜5000万とも聞きます。
また緊急オペは加算がつくので、緊急の麻酔代金は高く設定されています。
麻酔科医師のバイトにおける注意点
基本的に考えとして、麻酔科医がバイトで「オペ麻酔」を行なった時の問題としては
術後を診る事ができない
事にあると思います。
全ての問題は、ここに集約されます。
例えば、術直後は良かったけれど、術後病棟にもどって少ししてから傷がスゴく痛むとか。
常勤であればその痛みに介入できますが、バイト先だと介入できません。
逆に麻薬を使い過ぎて、鎮痛はバッチリだけども呼吸が少し怪しいとか。
まあその状況でオペ室から出す事は無いでしょうけれど、持続フェンタニルでゆっくり点滴していたのが病棟で何らかの理由でフラッシュされて、息が止まるとか。
例えば、透析患者で術後に筋弛緩剤の再クラーレ化が起こって、病棟で息が止まってしまったとか。
この場合はかなり致命的です。
このように、全身麻酔から回復した患者は、一定の確率で何かの要因によって呼吸が止まる可能性がありますが、バイト先だとそのアフターフォローができません。
逆にいうと、バイト先の麻酔では
- 鎮痛はバッチリ
- 呼吸も問題なし
- 呼吸に問題が生じるようなタネを作らない
- 血液データも必要に合わせて整えておく
事が重要で、全てのバランスを取る必要があります。
バイトの場合、常勤で働いている時の麻酔よりもさらに緊張感を持って麻酔をしなければなりません。
当たり前の事なのですけれど、少し気が緩んでくる頃にトラブルはやってきます。
注意したいですね。
麻酔科医師のバイト、必要物品はコレ
特にありません。
人によっては自前の挿管道具(マックグラス、エアウェイスコープ)を持っている先生がいます。
ビデオ喉頭鏡がない施設に行く場合、持って行きたくなる気持ちは良くわかります。
また悪性高熱、局所麻酔中毒、肺塞栓など、滅多に起こり得ないけれども起こった際に致命的な状態に陥った時、どういう医療的介入が必要なのかは頭に叩き込んでおきましょう。
もし自身が無いならば、教科書を持っていくか、iPadなどのデバイスですぐに閲覧できる状態にして持ち歩きましょう。