初めまして、ドクターかずやと申します。
私は、現役の産婦人科医で、キャリアは13年目になります。
初期研修で一般内科、循環器内科、腎臓内科、一般外科、乳腺外科、心臓血管外科、整形外科、麻酔科、小児科、精神科、産婦人科をローテーション後、大学病院勤務を経て、専門医取得。
現在は総合病院の産婦人科医として産科および婦人科の業務に携わり、年間約200件ほどのオペを執刀しています。
今回は救急外来の医師のバイト、業務内容と注意点について。
実際の経験、あるいは先輩ドクターの実務や情報からお話し、解説して行きたいと思います。
救急外来医師のバイト、業務内容は
救急外来といっても、自身が何系の科が得意かによって担当する業務は変わります。
そして対応する疾患の重症度によって1次救急、2次救急、3次救急に別れます。
1次救急は小さな病院、2次救急は地域の中核病院、3次救急は大学病院クラスの救急外来が配備されている高次機能施設で扱われます。
3次救急のアルバイトはあまり募集されていませんから、多くは1次あるいは2次救急担当として働きます。
病院や地域によって異なる、救急外来医師のバイト人数
バイト募集されている時間帯は主に夜間です。
たまに休日祭日の日中などもバイト募集されていることはあります。
一般的な総合病院、300床クラスの救急外来では主に内科系1人、外科系1人を常駐させていることが多いです。
病院によっては内科系1人のところも多いです。
また、個別に小児科医を小児科救急外来として常駐させているところもあります。
これは地域、病院によって様々なので希望する地域で調べてもらうと良いでしょう。
メインの仕事は、救急外来患者の初療
具体的な業務内容は、救急外来の初療に当たります。
内科系救急外来であれば、その地域の救急患者の中でも内科系の疾患を疑われる患者を担当します。
そこで初診を行い、自科で完結できる疾患であればそのまま診療を行い必要であれば入院させ治療を開始します。
内科系救急外来での対応疾患は
- 頭部疾患
- 急性腹症
- 呼吸器感染
- 尿路感染
- 心疾患
- 内分泌疾患
が多くなります。
入院させた場合は、その病院の常勤担当医に、疾患、病態、初療~治療開始の流れを申し送り、スムーズに診療が進むように手配します。
診察や検査を進めていく中で「これは他科の相談を仰いだほうが良いだろう」と判断した場合には、それぞれの当該科、外科、脳外科、整形外科、産婦人科など担当の科にコンサルトしていきます。
この体制が病院によって異なるので、注意が必要です。
病院や地域によって異なる、救急外来医師のバイト体制
細かくそれぞれの専門科にコンサルトできるようにオンコール体制で各科を置いていてくれている救急外来もあれば、救急外来バイト医で完結させなければいけない救急外来もあります。
多くの場合、重症疾患のため救急車で運ばれてくるような患者であれば、救急隊が運ぶ前に輪番制(その地域で、どの病院にどの専門医が待機しているか、対応可能疾患はどれか)を判断した上で受診することになっています。
救急隊は「担当できる医師がいる病院」にのみ搬送するので、救急外来のバイト医が各科へのコンサルとに困る事はあまりありません。
しかしながら、例えば外科系当直やオンコールがいない救急外来で、内科系の救急外来バイト医が診察し、検査の結果「手術適応の外科系疾患」を診断したりすることもあります。
その場合は地域の中で対応可能な病院に再搬送です。
また同じ内科系でも、消化器内科医がバイト先で心筋梗塞を疑う患者を見た場合、循環器内科医が待機している病院へ搬送する必要があります。
都心の病院であれば受け入れ先は比較的すぐに見つかることが多いのですが、郊外や田舎の病院の場合、この受け入れ先を探す作業が非常に大変です。
特に一刻を争う重症状態であれば、より緊張感が増します。
外科系救急外来でも同様の流れになりますが、内科系よりはより選別された疾患を対応することが多いです。
主に
- 外傷
- 急性腹症
などがそれに当たります。
外科系救急外来の場合、緊急手術適応の患者さんが運ばれてきたときに対応する事が多い疾患は
- 急性虫垂炎
- イレウス
- 消化管穿孔
などですが、手術体制が整っている救急外来であれば、そのままオペになることもあります。
この場合、オンコール体制で常勤の外科医を呼び出して手術になることが多いです。
救急外来のバイト医は、そのまま救急外来に居座ります。
また外傷で整形外科による緊急手術が必要と判断される疾患の場合、(大腿骨頚部骨折や上腕骨顆上骨折など)整形担当医がオンコール待機していればコンサルトを、いなければ救急外来バイト医が「地域の輪番制の中で整形外科医が待機している病院に紹介」することになります。
小児科救急外来の場合は、基本的に救急外来バイト医は小児のみを担当します。
急性虫垂炎など、外科コンサルトが必要な場合は、その都度、他の科の救急外来同様に対応が必要になります。
救急外来の医師のバイト、相場(時給)は
救急外来のバイトの相場は、地域、あるいは担当する救急のレベルに応じて変わります。
概ね田舎に行くほどバイト代が高額になり、救急のレベルが上がるほどバイト代が高くなります。1次救急より2次救急の方が当然報酬は高額になります。
アルバイトは単価をコマ数で数えます。
夕方から夜間の当直外来を1コマ、休日の日中から夕方までを1コマと数えます。
例えば日曜日に24時間救急外来を担当したら2コマ分稼げる、ということになります。
具体的に例を挙げると、1コマ単位で内科系は
- 1次救急が5万円前後
- 2次救急で10万円前後
に設定されている救急外来が多いです。
これを基準として都心部ではバイト代がやや安めに、郊外ではバイト代がやや高めに設定されています。
内科系、外科系での報酬の違いはあまりないですが、外科系の救急外来の場合
- 手術症例の患者を診療し、そのまま手術を担当せればインセンティブがつく
ことが多いです。
内科系救急外来のバイトでも、救急初診からそのまま緊急入院になるような患者を診た場合、1件ごとにインセンティブがつく病院もあります。
これは救急外来を受診した患者さんがそのまま緊急入院になった場合、さらにそれが夜間あるいは休日だと保険点数が非常に高く、病院にとっては経営上利益の上がる診療になるため、バイト医のモチベーションを上げるためにもペイしていることが多いです。
小児科救急外来もほぼバイト代は同様ですが、内科系、外科系よりはやや相場は低いことが多いです。
これは保険点数が小児科の場合、あまり高くないことに由来すると思います。
救急外来の医師のバイトにおける注意点
ここまでの解説を見ていただいてご理解いただけると思いますが、なかなか大変なバイトになります。
特に2次救急のバイトは、地域の中核病院の救急疾患に対応するわけですから、少なくとも当該科の専門医レベルの知識、技術は備えておく必要があります。
また研修医時代から救急の対応にある程度慣れているドクターに向いていると言えるでしょう。
そして、バイト先の病院で自分が診療で使う機器は、あらかじめ調べておく必要があります。
内科系であれば
- 採血結果はどのくらいで出るのか
- エコーはどのメーカーのものか
- 精度はどのレベルか
- CT、MRIは設置されているか
- 放射線技師さんが緊急撮影に対応していただけるか
などです。
外科系であれば
- 処置に必要な基本的な器具は揃っているか
- オペ室でオペに必要な機器は整っているか
なども追加で確認しておきましょう。
救急外来の医師のバイト、必要物品はコレ
特に必須の物品はありません。
一般的には当直対応マニュアルや、寝具、また患者さんが来てない時にリラックスできるような自分のグッズなどを持って行けば良いでしょう。