医師のバイトって、稼ぎも大きいですが、その分税金も高いですよね。
せっかく10万稼いでも、4万取られて6万しか手残りが無いなんてザラです。
下手をすれば、バイトを追加で頑張るよりも節税した方が早いんじゃ無いかって思えて来ます。
医師のバイト代を節税する方法は、あるのでしょうか。
医師のバイト代から、交通費は経費に計上して節税できるのか
まずありがちなアイディアとして、バイト先に行くまでの交通費を経費にできないのかというアイディア。
結論から言うと、医師がバイトに行くにあたって交通費は経費にできません。
なぜならば、医師のバイト代というのは給料です。所得分類としては給与所得です。
給与所得者は、交通費やスーツ代など、日常的に仕事で使う経費は「給与所得控除」に含まれています。
ですから追加で経費を申請、その分を無税にする事はできません。
医師のバイト代を事業所得にして、個人事業主成りは可能か
交通費を経費にする方法はダメでした。
しかし、ここでもう1つ思いつきますよね。
給与所得じゃなくて、事業所得として医師のバイト代をもらう事ができれば、自社内での経費として計上できるのではないか、と。
つまり個人事業主になったり、会社にしてそこに事業所得といて医師のバイト代を病院から支払ってもらえれば良いのでは無いか。
僕もこう思い、少し調べてみました。
麻酔科は個人事業主になれる?
少し前まで、麻酔科だけは個人事業主になってバイト代を事業所得にできる、という話がありました。
麻酔科は開業できないから、その代わりに「麻酔科バイト」で開業するようなものだと。
しかしながら、これについては明確な答えがあります。
アウトです。
実際に裁判が行われたケースがあります。
以下引用です。
麻酔科医であるX(原告)は、各病院から得た収入が事業所得に当たることを前提として、平成17~19 年分の納付すべき所得税額を14万0900円、425万3500円、919万4300円として確定申告をした。
平成19 年分についてはXの妻の給与額280万円を青色事業専従者給与として控除することも前提とした。
税務署長は、給与所得に当たること(平成19年分について青色事業専従者非該当)を理由に、更正処 分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。平成17~19年分の本税額を231万9100円、928万4900円 (生命保険料控除漏れを修正した再更正処分で926万6400円に減額)、1491万3100円とし、過少申告加 算税額を21万7000円、50万3000円(50万1000円に減額)、57万1000円とした。
異議申立てを経て、X は審査請求をしたが、平成22年9月6日付けで棄却(前記減額部分は却下)された。
要約すると
麻酔科バイトを事業所得として申告していた麻酔科医に対して、税務署が指摘、麻酔科医が税務署を相手取り裁判
麻酔科医側の要求を棄却、麻酔科医のバイト代は全て給与所得になる
という判決でした。
麻酔科がバイトで個人事業主成り、事業所得でバイト代をもらって経費を使うという手法は不可能になりました。
産業医による労働衛生コンサルは個人事業主になれる?
一方で記事執筆時現在、産業医のバイト代を事業所得にすることは可能なようです。
僕は産業医の嘱託バイトをした事が無いのでわかりませんが、話は聞いたことがあります。
産業医の嘱託バイトを複数掛け持ちし、個人事業主や法人名義の支払いとしてもらい、経費を算入しているようです。
実際、ある程度の地方でも「産業医事務所」と探すと、法人名義での産業医事務所がチラホラ出てきます。
これなら、産業医の嘱託費用から経費を差し引く事ができるので、節税できますね。
自分で自分に払う給料を決めて、給与所得控除も受ける事ができます。
もしこの方法が今後も継続して可能であれば、オイシイ方法かもしれません。
放射線科の読影バイトは事業所得になる?
放射線科の先生に聞いたところ、読影のバイトを事業所得としてくれる会社もあるようです。
個人的にはかなりグレーかな、と思いますが、現状可能だという事は間違いなさそうです(記事執筆時)。
とはいえ、読影バイトに使う経費って一体何があるんでしょう…。
移動も必要無いから交通費も出ないでしょうし、タブレットや通信機器系でしょうか。
健診バイトで事業所得にする方法がある?
どうやら健診専門の仲介業者と、業務委託という形で事業所得として健診バイトの代金をもらう方法があるようです。
しかしながら、医師の業務委託は基本的に禁じられているため、かなりブラックに近いグレーなのでオススメしません。
自由診療系はオーナー次第では事業所得にしてくれる
色々な医師の声を集めたところ、自由診療系のバイトは比較的なんとかしてくれるみたいです。
つまりバイト代を事業所得として扱えるらしいです。
美容とか、脱毛とかですかね。
ただし、オーナーによるようなので一概には言えません。
まとめ
医師のバイト代を節税する方法として
- 経費の参入
これはできない。
また
- 医師のバイト代を事業所得にする
方法も、かつて可能とされていた麻酔科すら禁止された。
逆に可能とされているのは
- 産業医の嘱託バイト
- 放射線科の読影バイト
- 自由診療系
など。
この場合は経費算入ができるため、オイシイ。
しかしながら、今後も続くかどうかはわからない。